熱中症対策の義務化、会社は何をすればいい?担当者向け実務ロードマップ

職場の熱中症対策をテーマにした実務ロードマップのアイキャッチ画像 職場の熱中症対策

職場での熱中症による死亡災害では、重篤化した状態で発見されるケースや、医療機関への搬送が行われないケースなど、初期対応の遅れがみられていました。

こうした重篤化を防ぐため、労働安全衛生規則が改正され、2025年6月1日に第612条の2が施行されました。一定の暑熱環境で行われる対象作業では、熱中症のおそれがある人を早期に把握するための報告体制を整え、症状の悪化を防ぐために必要な措置の内容と実施手順を定め、それらを作業従事者へ周知することが事業者に求められています。

ただし、職場の熱中症対策は、この新しい対応だけで終わるものではありません。WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:暑さ指数)の確認、作業環境や作業方法の見直し、健康状態の確認、暑熱順化、水分・塩分、教育など、日常の予防対策もあわせて考える必要があります。

法令やガイドラインを個別に読むだけでは、「自社では何を確認し、誰が関わり、何を決め、どの順番で進めるのか」が見えにくいことがあります。ここでは、会社の担当者が実際に進める順番に沿って、職場の熱中症対策の全体像を整理します。

先に全体像:会社が確認・整備する順番

  1. 法令上どのような対応が求められたのか確認する
  2. 自社の職場・作業が対象となるか確認する
  3. 誰が熱中症対策を進めるのか、社内の役割を整理する
  4. 報告体制・緊急時対応手順・周知を整える
  5. WBGTなどを確認し、日常の熱中症予防へつなげる
  6. 必要な事項を自社・職場の実情に合わせて具体化する
  7. 必要に応じて記録や年間運用へつなげる
  1. 熱中症対策の義務化で何が変わったか、会社が行う対応の全体像
    1. 2025年6月から何が変わったのか
    2. 法令上求められる対応を整理する
    3. 「法令上の義務」と「広い予防対策」は分けて考える
  2. 自分の職場・作業が対象となるか確認する
    1. 対象判断は業種名だけでは決まらない
    2. WBGT・気温・作業時間を確認する
    3. 屋内・屋外ではなく実際の作業条件を見る
  3. 熱中症対策を誰が進めるか、社内の役割を整理する
    1. すべての会社に「熱中症担当者」という新しい役職が必要なわけではない
    2. 既存の安全衛生管理体制との関係を確認する
    3. 誰に予防対策を担わせるかに応じて役割を整理する
  4. 報告体制・緊急時対応手順・周知を整える
    1. 熱中症のおそれがある人を早期に把握できる報告体制を決める
    2. 症状悪化を防ぐための対応手順を作業場所ごとに定める
    3. 決めた報告体制と対応手順を作業従事者へ周知する
  5. WBGTを確認し、日常の熱中症予防へつなげる
    1. 対象作業を確認するWBGTと、日常のリスク評価を混同しない
    2. 作業環境・作業方法・健康状態をあわせて確認する
    3. 暑熱順化や水分・塩分なども日常運用へ組み込む
  6. 決めた熱中症対策を、職場で継続して回せる形にする
    1. 必要事項を整理して職場で使える状態にする
    2. 実施状況を必要に応じて記録・確認する
    3. 本格的な暑熱期に入る前から準備し、年間運用へつなげる
    4. 白紙からではなく、実務用テンプレートを使って整理する
  7. よくある疑問を確認する
    1. 小規模な会社でも対象になりますか?
    2. 屋内作業でも対象になりますか?
    3. 水分・塩分補給も2025年6月から新しく義務化されたのですか?
    4. 書面や記録はすべて作成しなければならないのですか?
  8. 職場の熱中症対策を一つの流れで整理したい担当者へ
    1. 制度の確認から職場での具体化までを一つの流れで整理
    2. PDF教材内に8種類の実務用テンプレート等を収録
    3. PDF形式のデジタル教材です

熱中症対策の義務化で何が変わったか、会社が行う対応の全体像

2025年6月から何が変わったのか

2025年6月1日から、一定の暑熱環境で行われる作業について、労働安全衛生規則第612条の2が施行されました。

この改正では、熱中症のおそれがある人を早い段階で把握し、症状の悪化を防ぐための対応につなげる仕組みが求められています。

対象となる作業を行う事業者は、熱中症の自覚症状がある場合や、周囲の人が熱中症の疑いに気付いた場合に報告できる体制を整えます。

あわせて、作業から離れさせる、身体を冷却する、必要に応じて医師の診察や処置につなげるなど、症状の悪化を防ぐために必要な措置の内容と実施手順を作業場ごとに定め、作業従事者へ周知します。

法令上求められる対応を整理する

労働安全衛生規則第612条の2で事業者に求められる内容を、本記事では次の3つに整理します。

  1. 報告体制を整える

本人が熱中症の自覚症状を感じた場合だけでなく、周囲の人が「熱中症の疑いがある」と気付いた場合にも、必要な相手へ報告できる体制を整えます。

  1. 症状の悪化を防ぐための対応手順を定める

熱中症のおそれがある人を把握したときに、作業から離れさせる、身体を冷却する、必要に応じて医師の診察や処置につなげるなど、必要な措置とその実施手順を作業場ごとに定めます。

  1. 報告体制と対応手順を作業従事者へ周知する

体制や手順を決めるだけでなく、対象となる作業に従事する人が、誰に報告し、どのような対応が行われるのかを事前に確認できる状態にします。

これらの措置義務は、労働安全衛生法第22条に基づくものです。同法第119条には、第22条違反に対する罰則が定められています。

個別の事案でどの規定が適用されるかは具体的な状況によって異なるため、本記事では個別の法的判断までは扱いません。

「法令上の義務」と「広い予防対策」は分けて考える

職場の熱中症対策のすべてが、2025年6月に新しく義務化されたわけではありません。

労働安全衛生規則第612条の2による報告体制、症状悪化防止のための措置・手順、周知とは別に、従来から法令で定められている措置や、厚生労働省のガイドライン等で示される熱中症予防対策があります。

たとえば、

  • WBGTを用いた暑熱リスクの確認
  • 作業環境の改善
  • 作業時間や休憩方法の調整
  • 労働者の健康状態の確認
  • 暑さに身体を慣らす暑熱順化
  • 水分・塩分の確保
  • 熱中症に関する労働衛生教育

などです。

2026年に厚生労働省が策定した「職場における熱中症防止のためのガイドライン」でも、作業環境管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育などを組み合わせて熱中症を防止する考え方が示されています。

この法令上求められた対応と、日常の熱中症予防は、同じ位置づけではありません。それぞれの根拠と役割を区別したうえで、自社の職場で必要な対策へつなげていきます。

自分の職場・作業が対象となるか確認する

対象判断は業種名だけでは決まらない

法令上の対象になるかどうかは、「建設業だから対象」「事務所だから対象外」といった業種名だけでは決まりません。

確認するのは、実際に作業を行う場所の暑さと、その環境でどの程度の時間作業することが見込まれるかです。同じ会社でも、作業場所や作業内容によって対象になるかどうかが異なる場合があります。

まずは、自社で暑熱環境の影響を受ける可能性がある作業を洗い出します。

WBGT・気温・作業時間を確認する

労働安全衛生規則第612条の2の対象となるのは、次の条件に該当することが見込まれる作業です。

  • WBGTが28度以上、または気温が31度以上
  • その環境で、継続して1時間以上、または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる

実際に熱中症が発生したかどうかではなく、こうした条件のもとで作業することが見込まれるかを確認します。

暑い時期に長時間行う屋外作業だけでなく、設備や熱源の影響で高温になりやすい屋内作業も確認対象になり得ます。

自社では、作業ごとに次の3点を確認します。

  • どの作業が暑熱環境の影響を受けるか
  • その作業場所のWBGTや気温はどの程度か
  • その環境で作業する時間はどの程度か

なお、ここで示したWBGT28度という数値は、第612条の2の対象作業を確認するための条件です。

日常の熱中症リスクを考える際には、WBGTだけでなく、作業の身体的な負荷、暑さへの慣れ、着衣なども確認します。この違いについては、後ほど日常の予防対策の部分で整理します。

屋内・屋外ではなく実際の作業条件を見る

「屋外作業なら対象、屋内作業なら対象外」という分け方はできません。

屋内でも、

  • 熱源がある
  • 換気が十分でない
  • 空調の効果が届きにくい
  • 作業場所によって温度差が大きい

といった環境では、暑熱リスクが高くなることがあります。

反対に、屋外作業でも、実際の暑熱環境や作業時間によって条件は異なります。会社全体を一括して判断するのではなく、作業場所・作業内容・作業時間ごとに確認します。

また、第612条の2の対象条件に当てはまらなかったからといって、熱中症予防そのものが不要になるわけではありません。

厚生労働省の現行ガイドラインでは、熱中症のおそれのある作業について、WBGTによるリスク評価のほか、作業環境管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育などを組み合わせた予防対策が示されています。

法令上の対象になるかどうかの確認と、自社の熱中症リスクに応じた予防対策は、別のものとして整理します。

熱中症対策を誰が進めるか、社内の役割を整理する

すべての会社に「熱中症担当者」という新しい役職が必要なわけではない

労働安全衛生規則第612条の2によって、すべての事業場に一律で「熱中症担当者」という名称の新しい役職を設けることが義務付けられたわけではありません。

一方で、実際の職場では、誰がどの役割を担うのかを曖昧にしないことが必要です。

たとえば、

  • 誰が熱中症対策全体を確認するのか
  • 誰が熱中症のおそれがある人からの報告を受けるのか
  • 誰が緊急時の対応を進めるのか
  • 誰が作業従事者への周知を行うのか
  • 誰がWBGTなどの暑熱環境を確認するのか

といった役割を、自社の体制に合わせて整理します。

実際に関わる人は、会社の規模や既存の安全衛生管理体制によって異なります。

既存の安全衛生管理体制との関係を確認する

すでに安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者などを選任している事業場では、まず既存の安全衛生管理体制との関係を確認します。

専任の安全衛生担当者がいない小規模な会社では、事業主、総務・人事労務担当者、現場管理者などが役割を分担する場合もあります。

安全衛生推進者または衛生推進者については、法令上、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場で選任が必要です。どちらを選任するかは業種によって異なります。

そのため、「50人未満の会社ならすべて安全衛生推進者を置く」といった一律の整理はできません。

自社ですでにどのような安全衛生管理体制を設けているのかを確認したうえで、熱中症対策の役割を当てはめていきます。

誰に予防対策を担わせるかに応じて役割を整理する

2026年に厚生労働省が策定した「職場における熱中症防止のためのガイドライン」では、衛生管理者などを中心として熱中症防止対策を検討・実施する考え方が示されています。

また、衛生管理者や安全衛生推進者、衛生推進者などとは別の者に熱中症予防対策を行わせる場合には、必要な知識を持つ者の中から「熱中症予防管理者」を選任するという整理も示されています。

すべての会社に一律で新しい役職を追加するのではなく、既存の安全衛生管理体制を確認し、実際に誰が熱中症予防対策を担うのかに応じて役割を整理します。

自社で役割分担を具体化する際は、たとえば次の点を確認します。

  • 現在どのような安全衛生管理体制になっているか
  • 熱中症対策全体を誰が確認するか
  • 現場での対応を誰が担うか
  • 担当者が不在の場合に誰が代わるか
  • 関係者同士で役割を共有できているか

報告体制・緊急時対応手順・周知を整える

熱中症のおそれがある人を早期に把握できる報告体制を決める

労働安全衛生規則第612条の2で求められる「報告体制」は、誰かが倒れた後に連絡するためだけの緊急連絡網ではありません。

本人が熱中症の自覚症状を感じた場合だけでなく、周囲の人が「熱中症の疑いがある」と気付いた場合にも、速やかに報告できる体制を整えます。

職場で実際に運用する際は、たとえば次の点を具体化します。

  • 誰が報告するのか
  • 誰が報告を受けるのか
  • 最初の報告先が不在の場合は誰へ連絡するのか
  • 電話や無線など、どの方法で連絡するのか
  • 一人作業など、周囲が異変に気付きにくい場合にどう把握するのか

本人からの申告だけに頼らず、巡視や作業者同士の確認なども組み合わせ、異変を早い段階で把握できるようにします。

「意識を失ったら報告する」といった重症化後の連絡だけではなく、普段と様子が違う、体調が悪そうに見えるといった変化を早く拾い上げ、必要な対応へつなげるための体制です。

症状悪化を防ぐための対応手順を作業場所ごとに定める

熱中症のおそれがある人を把握した後、どのように対応するのかもあらかじめ定めておきます。

対象となる作業では、熱中症の症状が悪化することを防ぐために必要な措置の内容と、その実施手順を作業場ごとに定めます。

具体的には、

  • 作業から離れさせる
  • 身体を冷却する
  • 必要に応じて医師の診察や処置につなげる
  • 緊急連絡先や搬送先を確認しておく
  • 誰がどの対応を担うのか決めておく

などを、実際の作業場所や勤務体制に合わせて整理します。

一般的な熱中症対応を文章として用意するだけでは、緊急時に迷う可能性があります。

たとえば、

  • 管理者が常駐しているか
  • 救急車が到着しやすい場所か
  • 搬送先として確認している医療機関はあるか
  • 一人作業があるか
  • 夜間や休日の作業があるか

といった条件は、職場ごとに異なります。

「誰が、何を、どの順番で行うのか」を実際の作業場所に合わせて具体化しておくと、緊急時にも手順を確認しやすくなります。

なお、本記事は個々の症状について医学的な診断や救急搬送の要否を判断するものではありません。緊急時は、あらかじめ定めた手順や公的な救急情報等を踏まえ、必要な対応につなげます。

決めた報告体制と対応手順を作業従事者へ周知する

報告体制や対応手順は、会社の担当者だけが把握していても機能しません。

対象となる作業に従事する人が、

  • 体調に異変を感じたら誰へ報告するのか
  • 周囲の人の異変に気付いたらどうするのか
  • 熱中症のおそれがある人を把握した後、どのような流れで対応するのか

を事前に確認できるようにします。

書類を作成すること自体が目的ではありません。必要なときに、作業従事者が報告先や対応手順を確認し、行動へ移せる状態にしておくことが必要です。

連絡先や担当者が変わった場合などは、周知している内容が現在の体制と合っているかも確認します。

また、建設現場など、同じ作業場で元方事業者や関係請負人など複数の事業者が作業する場合には、自社の中だけで報告体制を決めればよいとは限りません。

それぞれの事業者が必要な措置を確認し、熱中症のおそれがある人を把握したときに報告や対応が滞らないよう、関係者間で連絡方法などを調整します。

なお、ここでいう職場内の「報告体制」と、労働災害が発生した場合などに労働基準監督署へ提出する「労働者死傷病報告」は別の制度です。

今回整備する報告体制は、熱中症のおそれがある人を早期に把握し、症状の悪化を防ぐための職場内の仕組みです。

WBGTを確認し、日常の熱中症予防へつなげる

対象作業を確認するWBGTと、日常のリスク評価を混同しない

職場の熱中症対策では、WBGT(暑さ指数)が重要な判断材料になります。

ただし、WBGTには大きく分けて2つの使い方があります。

一つは、労働安全衛生規則第612条の2の対象となる作業かどうかを確認するための指標です。前の章で確認したとおり、WBGT28度以上という基準は、この対象判断に使われます。

もう一つは、日々の暑熱リスクを確認し、作業方法や休憩などの予防対策を検討するための指標です。

法令上の対象確認に使う場合と、日常の熱中症予防に使う場合では、同じWBGTという指標でも、確認する目的や判断の仕方が異なります。

作業環境・作業方法・健康状態をあわせて確認する

日常の熱中症リスクは、WBGTや気温だけで判断するものではありません。

厚生労働省の「職場における熱中症防止のためのガイドライン」では、WBGTを活用しながら、作業環境管理、作業管理、健康管理などを組み合わせて対策を進める考え方が示されています。

職場では、たとえば次のような点を確認します。

  • 作業場所のWBGTや暑熱環境
  • 身体への負担が大きい作業か
  • 作業時間や休憩の取り方
  • 直射日光や熱源などの影響
  • 通風や冷房、休憩場所などの作業環境
  • 作業者の体調や健康状態
  • 暑さに十分慣れているか
  • 作業時の服装や保護具

WBGTを測定・確認しただけで対策が終わるわけではありません。

数値や作業条件を見ながら、

  • 誰が状況を確認するのか
  • どの作業について対応を検討するのか
  • 作業時間や休憩をどう調整するのか
  • 作業者の体調をどのように確認するのか

を、自社の作業に合わせて決めていきます。

暑熱順化や水分・塩分なども日常運用へ組み込む

日常の熱中症予防では、WBGTの確認に加えて複数の対策を組み合わせます。

たとえば、

  • 暑さに徐々に身体を慣らす暑熱順化
  • 作業時間や休憩方法の調整
  • 涼しい休憩場所の確保
  • 水分・塩分を補給できる環境の整備
  • 作業前や作業中の健康状態の確認
  • 熱中症に関する労働衛生教育

などです。

これらをすべて「2025年6月から新しく義務化された対応」と考えるのは正確ではありません。

たとえば、多量の発汗を伴う作業場における塩や飲料水の備えについては、労働安全衛生規則第617条に別の規定があります。

また、2026年の現行ガイドラインでは、作業環境管理、作業管理、健康管理、労働衛生教育などを組み合わせた熱中症予防対策が示されています。

2025年6月から法令上求められた報告体制・症状悪化防止のための措置と手順・周知と、日常の熱中症予防は、根拠や役割を区別したうえで職場の運用に組み込んでいきます。

決めた熱中症対策を、職場で継続して回せる形にする

必要事項を整理して職場で使える状態にする

報告体制や緊急時対応手順、WBGTの確認方法などを決めても、それぞれの情報がばらばらでは、必要なときに確認しにくくなります。

自社の職場や勤務体制に合わせて、たとえば次の事項を整理します。

  • 熱中症のおそれがある人を把握したときの報告先
  • 報告を受ける担当者
  • 担当者が不在の場合の連絡先
  • 緊急時の連絡先
  • 必要に応じて確認しておく搬送先
  • 作業場所ごとの対応方法
  • WBGTなどを確認する担当者
  • 作業従事者へ周知する内容
  • 日常の健康状態を確認する方法

ここで整理するのは、制度の一般的な説明ではなく、「自社では誰が、どこで、何をするのか」という具体的な内容です。

実施状況を必要に応じて記録・確認する

決めた内容が実際に運用されているかを確認するため、必要に応じて記録を残します。

たとえば、

  • WBGTなどを確認した記録
  • 作業従事者へ周知した内容
  • 教育を実施した記録
  • 熱中症が発生した場合の対応記録
  • 対策を見直した内容

などです。

ただし、こうした記録様式や年間計画書を作成すること自体が、労働安全衛生規則第612条の2によって一律に義務付けられているわけではありません。

法令上求められている対応と、職場で運用状況を確認・共有するための記録は、目的が異なります。

記録を残す場合は、

  • 実施した内容を確認する
  • 担当者間で共有する
  • 次回の対応へ活かす
  • 担当者が変わったときに引き継ぐ

といった目的に必要な範囲で整理します。

本格的な暑熱期に入る前から準備し、年間運用へつなげる

熱中症対策は、気温が高くなってから急いで準備するのではなく、本格的な暑熱期に入る前から体制や手順を確認しておくと運用しやすくなります。

年間の流れは、たとえば次のように整理できます。

準備

体制や手順の確認

作業従事者への周知・教育

暑熱期の運用

実施状況の確認

振り返り

次の時期への準備

毎年、職場環境や人員、作業内容が同じとは限りません。

担当者、連絡先、作業場所、設備、作業方法などに変更があれば、以前決めた内容をそのまま使えるかを確認します。

「職場の熱中症対策 実務ハンドブック」では、このような年間の流れを、第9章「年間運用カレンダー」で実務上の整理例として紹介しています。

白紙からではなく、実務用テンプレートを使って整理する

必要事項を白紙から整理しようとすると、「何を決めるのか」「何を記録するのか」で迷いやすくなります。

当サイトで販売しているPDF教材「職場の熱中症対策 実務ハンドブック」は、厚生労働省等の公的一次情報を確認・整理し、職場で必要となる熱中症対策を実務で活用しやすい形にまとめた有料教材です。教材内には、自社で決める事項を整理するための8種類の実務用テンプレートを収録しています。

あわせて、運用状況の確認に使うチェックリストと、巻末付録として現場掲示・熱中症対応シートも収録しています。

これらは、同じ様式を作成・使用すれば法令対応が完了するというものではありません。

教材本文や公的一次情報を確認しながら、自社で決める事項を整理し、職場の実情に合わせて具体化するために作られたPDF形式のデジタル資料です。

具体的な収録内容は、記事の最後でまとめて紹介します。

よくある疑問を確認する

小規模な会社でも対象になりますか?

会社の規模だけで、労働安全衛生規則第612条の2の対象外になるわけではありません。

確認するのは、実際に行っている作業が、同条で定める暑熱環境や作業時間の条件に当てはまるかどうかです。

小規模な会社でも対象となる作業を行っている場合は、報告体制を整え、症状悪化防止のための措置と実施手順を定め、その内容を作業従事者へ周知する必要があります。

一方、安全衛生推進者や衛生推進者などの選任については、事業場の規模や業種による別の条件があります。

「会社が小さいからすべて対象外」「50人未満なら同じ体制でよい」と一括して判断せず、それぞれの制度の条件を分けて確認します。

屋内作業でも対象になりますか?

屋内作業でも、暑熱環境や作業時間の条件に当てはまれば対象となります。

屋内・屋外という区分だけで判断するものではありません。

たとえば屋内でも、

  • 熱源がある
  • 空調が十分に効かない
  • 換気が不十分
  • 作業場所によって高温になりやすい

といった環境があります。

自社の作業場所について、実際のWBGTや気温、作業時間を確認します。

水分・塩分補給も2025年6月から新しく義務化されたのですか?

水分・塩分補給そのものが、2025年6月施行の労働安全衛生規則第612条の2によって新たに直接義務化されたわけではありません。

第612条の2で求められているのは、熱中症のおそれがある人を把握するための報告体制、症状の悪化を防ぐための措置と実施手順、それらの作業従事者への周知です。

一方、多量の発汗を伴う作業場については、労働安全衛生規則第617条に塩や飲料水の備えに関する別の規定があります。

厚生労働省の現行ガイドラインでも、水分・塩分補給を含む熱中症予防対策が示されています。

2025年6月から新たに求められた対応と、それ以前からある法令上の措置や日常の予防対策は、分けて確認する必要があります。

書面や記録はすべて作成しなければならないのですか?

労働安全衛生規則第612条の2が、本教材のテンプレートと同じ書式の作成や、年間計画書・WBGT測定記録・教育記録などの一律の作成・保存を求めているわけではありません。

同条で求められているのは、報告体制を整えること、症状悪化防止のための措置と実施手順を定めること、それらを作業従事者へ周知することです。

一方、職場では、決めた内容や実施状況を確認し、担当者間で共有したり引き継いだりするために、必要に応じて記録を残す方法があります。

法令上求められている対応と、職場で継続して運用するための記録・整理は、同じものではありません。

職場の熱中症対策を一つの流れで整理したい担当者へ

職場の熱中症対策では、2025年6月から新たに求められた対応だけでなく、日常の予防や継続運用まで含めて考える必要があります。

実際の職場では、

  • 自社の作業が対象となるか確認する
  • 誰が対策を進めるか整理する
  • 報告体制を整える
  • 症状悪化防止のための対応手順を具体化する
  • 作業従事者へ周知する
  • WBGTなどを確認して日常の予防対策へつなげる
  • 必要に応じて実施内容を記録する
  • 本格的な暑熱期に備えて継続的に運用する

といった事項を、自社の職場に合わせて整理していきます。

厚生労働省などの公的一次情報には、制度や予防対策に関する重要な情報が掲載されています。一方、それらを複数の資料から確認し、「自社では何を決め、どのように運用するのか」まで組み立てるには、情報を整理する作業も必要になります。

「職場の熱中症対策 実務ハンドブック」は、公的一次情報を確認・整理し、中小企業の事業主や総務・人事労務・安全衛生担当者などが、職場で必要な事項を確認しやすい順番にまとめたPDFデジタル教材です。

制度の確認から職場での具体化までを一つの流れで整理

教材の冒頭にはクイックスタートを設けています。

  1. 自社の作業が対象となるか確認する
  2. 法令上求められる対応を把握する
  3. 自社で必要な内容を整理する

その後、法改正と対象作業、報告体制、緊急時対応、周知・教育、WBGT、日常の熱中症予防、実務記録などを順番に確認できる構成です。

第9章では「年間運用カレンダー」として、本格的な暑熱期に入る前の準備から、暑熱期の運用、振り返りまでを実務上の整理例として掲載しています。

また、労働基準監督署の立入検査に備えて、日頃からどのような資料を整理しておくかという基礎的な内容も収録しています。

PDF教材内に8種類の実務用テンプレート等を収録

「職場の熱中症対策 実務ハンドブック」教材本文を確認しながら自社で決める事項を整理できるよう、PDF教材内に次の8種類の実務用テンプレートを収録しています。

  • 熱中症報告体制整備書
  • 緊急時対応手順書
  • 作業従事者への周知記録
  • WBGT測定記録
  • 年間熱中症対策計画書
  • 教育訓練実施記録
  • 熱中症発生・対応記録
  • 労働者死傷病報告 要否・提出管理シート

このほか、運用状況を確認するためのチェックリストと、巻末付録として「現場掲示・熱中症対応シート」も収録しています。

これらは、同じ様式を作成・使用すれば法令対応が完了するというものではありません。

教材本文や公的一次情報を確認しながら、自社で決める事項を整理し、職場の実情に合わせて具体化するための資料です。

PDF形式のデジタル教材です

「職場の熱中症対策 実務ハンドブック」は、PDF形式のデジタル教材です。

また、個別企業について法的な判断を行ったり、個別の文書作成・添削やコンサルティングを行ったりするサービスではありません。

公的一次情報を確認・整理し、職場の担当者が必要事項を理解し、自社で具体化しやすい形へまとめた教材です。

教材の詳しい内容、収録物、利用条件については、商品説明ページで確認できます。

すでに教材の内容・利用条件を確認済みで、購入手続きへ進む場合は、STORESの商品ページをご利用ください。

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